快適なゲーム環境を構築するうえで、問題になるのがスペースの確保です。テレビをゲーミングモニター代わりにできれば、スペースを節約できるのにと考える方も多いのではないでしょうか。
テレビとゲーミングモニターは外見こそ似ているものの目的が大きく異なるため、両者を兼用するのはあまり現実的ではないといわれています。
テレビとゲーミングモニターには、どのような違いがあるのでしょうか。この記事では、二つの違いを具体的に解説しています。
ゲーミングモニターとテレビの違い
ゲーミングモニターとテレビの外見はよく似ていますが、求められる機能は大きく異なります。ここでは、その違いを3つに分けて解説しています。
入力遅延
テレビとゲーミングモニターの大きな違いとして挙げられるのが、入力遅延です。
入力遅延とはデバイス、つまりマウスやゲームパッドを押してからゲームに情報が反映されるまでの速度です。攻撃ボタンを押したあと、画面上で実際に攻撃モーションが発動するまでの時間と考えれば良いでしょう。
こちらはテレビとゲーミングモニターの違いを検証している動画です。
同じように入力しているのに、モーションが遅れて発動しているのが分かると思います。
FPSなど攻撃タイミングがシビアなゲームでは、一瞬の差で勝敗が分かれるシーンも少なくありません。
そのため、ゲーミングモニターはテレビや通常のモニターと比べて入力遅延が短い設計になっているのです。
応答速度
応答速度とは、画面上の色が切り替わる速度を指します。入力遅延とよく似た言葉ですが、具体的には以下のような違いがあります。
入力遅延
攻撃ボタンを押してから、ゲーム画面上で実際に攻撃モーションが発動するまでの時間
応答速度
対戦キャラやエフェクトに生じる残像感
派手なエフェクトや大人数が動き回るゲーム画面を見ている時に、画面がブレて「目が追い付かない」と感じたことはないでしょうか。それは目の問題だけでなく、ゲーム画面に応答速度が対応しきれていない可能性があります。
残像のないクリアな映像を実現するため、ゲーミングモニターはテレビよりも応答速度が大幅に短縮されています。テレビの応答速度が15ms~70msなのに対し、ゲーミングモニターでは1ms~5msが一般的です。最新のハイクラスモニターでは、1msを切るモデルも。
単体で見ると分かりづらいものですが、比べてみるとその差は歴然です。
リフレッシュレート
モニターのスペック表によく表示されている「リフレッシュレート」という数値。高ければ高いほどスペックが高いということだけは分かるが、詳しくはよく知らないという方も多いのではないでしょうか。
リフレッシュレートとは、モニターの画素が1秒間に更新される回数を指しています。60Hzであれば1秒間に60回、144Hzであれば144回更新されるということです。
数値が高ければ高いほど短い時間でたくさんの画像が表示され、いわゆる「ヌルヌル動く」状態に近づきます。
こちらの動画からも分かるように、高リフレッシュレートを維持することで対戦キャラの動きをより正確に捉えられるようになります。
通常のモニターやテレビのリフレッシュレートは、60Hzが一般的です。PS4などのコンシューマ機でゲームをするのであれば、特に問題はない数値です。最近ではPS5向けに120Hz対応のものもあるが、こちらは価格もかなり高くなります。
ゲーミングモニターの場合は、より高いリフレッシュレートを追求しているため120Hz以上が求められます。ハイスペックなモデルでは360Hzというものもありますが、パソコン側にも相当のスペックが必要です。
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テレビとゲーミングモニターでは求められるスペックが違う
反応速度や描画のなめらかさにおいて、テレビよりもゲーミングモニターのほうが数段スペック的に優れています。しかしこれはゲーミングモニターが全体として優れているというわけではなく、双方に求められるスペックが異なるからだといえます。
ゲーミングモニターには素早いレスポンスや残像のないクリアな映像が求められる一方、テレビは色彩豊かでダイナミックな映像や、臨場感のある音響が求められます。
また、ゲーミングモニターの最適サイズは24~27インチとされていますが、テレビの最適サイズは設置場所や目的によって異なります。映像作品を鑑賞するという目的からすると、多くの場合24~27インチでは小さすぎるでしょう。
このようにテレビとゲーミングモニターでは目的が異なるため、それによって必要な機能も変わってきます。スペースや予算の問題もありますが、基本的には個別での購入を検討するほうが良いでしょう。
ゲーミングモニター | テレビ | |
入力遅延 | 短い | 長い |
応答速度 | 5ms以下 | 15ms以上 |
リフレッシュレート | 120Hz以上 | 60Hz |
適している画面サイズ | 24~27インチ | 44インチ以上が多い |
音響 | スピーカーなしも多い | スピーカーは標準装備 |
ストリーミングを利用するならゲーミングモニターでもOK
あまりテレビを使う機会がなく画質や画面サイズにもこだわりがないという場合は、ゲーミングモニターをテレビ代わりにすることも可能です。ただし、パソコンモニターでテレビを観る場合は、別売りのチューナーを設置する必要があります。
テレビ放送ではなく、ストリーミングサービスや見逃し配信のみでOKということでしたら、テレビチューナーを買う必要はありません。ブラウザやアプリ経由でそのまま再生可能です。
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テレビとゲーミングモニターの違いでよくある質問
テレビとゲーミングモニターでは、求められるスペックが異なることを解説してきました。ここではテレビとゲーミングモニターの違いについて、よくある質問をまとめています。
通常のモニターとゲーミングモニターの違いは?
通常のモニターとゲーミングモニターの大きな違いは、リフレッシュレートや入力遅延
に対する対策です。通常モニターのリフレッシュレートは、ほとんどが60Hz~75Hzでテレビとあまり変わりません。
リフレッシュレートが低いということは、それに伴って応答速度も低くなります。
通常使用であればそれほど差は出ませんが、ゲームプレイにおける打ち合いや索敵では大きなハンデになります。また、残像が大きいと目が疲れやすくなるというデメリットもあるのです。
ゲーミングモニターとテレビを兼用する際の注意点は?
ゲーミングモニターとテレビは別々に購入することが望ましいですが、やむを得ず兼用する場合は差し込み口の数をチェックしておきましょう。
テレビチューナーやデュアルモニターを接続するのに、HDMIの差し込み口が足りなくなることがあります。
HDMI分配器を使えば差し込み口を増やすこともできますので、必要であれば事前に購入しておくことをおすすめします。
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ゲーミングモニターのほうがやっぱりおすすめ!
この記事では、ゲーミングモニターとテレビの違いについて解説してきました。
ギリギリのところで撃ち負けないゲーム環境に、ゲーミングモニターは必須アイテムといえます。
それぞれに求められるスペックを考えると、別々に購入するのがベストな選択ですが、どうしても難しい場合はゲーミングモニターにテレビチューナーを接続して兼用するという方法もあります。
ゲーム性能や画質、画面の大きさなど、自分にとって最も必要な条件に優先順位をつけて考えることが大切です。