1974年公開の「悪魔のいけにえ」。
「えっと、どんな話だったけ?」と思ったあなた。
大丈夫!大半の人が思い出すのに少し時間がかかります。
この映画、悪魔と付いた邦題のため思い出しづらいのが残念なところ。シリーズの3以降は、タイトルに「悪魔のいけにえ3 レザーフェイスの逆襲」などと、レザーフェイスの名前を入れて分かりやすくしていたり、2003年リメイク版では、「テキサス・チェンソー」という原題に近い邦題に変えています。なお原題は「The Texas Chain Saw Massacre」(直訳するとテキサスチェンソーの大虐殺)。当時、エクソシストが流行っていたからとは言え、悪魔を付けた配給会社のネーミングセンスに疑問を感じますが・・・
そんな残念な邦題の話からしてしまいましたが、ストーリーは邦題を超える不快感たっぷりの怖さです!
気の毒な若者たちが変人一家の餌食になるストーリー
テキサス州に車で帰郷した5人の男女が、ヒッチハイカーを道中で拾う。ヒッチハイカーは、車中でいきなりナイフで手を切り出して自傷行為をして奇行に走ったため、車から追い出されることに。
その後、ガス欠になった車はガソリンを分けてもらうために、近くの屋敷に訪れる。そこは、車から追い出したヒッチハイカーや人の皮を剥いで作った仮面を被るレザーフェイス達が住んでいるソーヤ家の屋敷だったのだ。
個性溢れるソーヤ家
この映画を盛り上げるソーヤ家についてご紹介。
家族構成としては、殺しの達人の祖父、ミイラと化した祖母、人肉を売りさばく金の亡者の長男、ヒッチハイカーとして登場した自傷癖の持ち主の次男(続編で双子と判明)、4男にメインキャラクターのレザーフェイスの6人家族。
レザーフェイスは、皮膚病と梅毒を患っているため、顔には人の皮で作った仮面と体には人肉解体用の防水エプロンを纏っています。他にもレザーフェイスの殺しの手順は決まっており、ターゲットが来たら、まず金槌で頭を叩いて、家に引きずり込み、精肉工場によくある肉フックに人間の背中を引っ掛けて解体。
そして家族で人肉を食べ、残り物で家具などを作り上げています。これだけの人数がいれば1人ぐらいは優しそうな人がいる気はするが、ソーヤ家は精神異常者しかいないので捕まったらアウト。この屋敷に迷い込んでしまった若者達が本当に可哀想ですが、なぜかこのソーヤ家族も可哀想なのかも・・・
アメリカ中で上映禁止運動
今では、大成功を成し遂げたホラー映画として賞賛されていますが、当時は今までに無かった衝撃的な描写が悪影響と言われPTAなどの団体の抗議デモが相次いで行われました。確かに自分の子供に見せたいかと言うと、やはりノーですよね。でもホラー好きとしては、よくぞここまでの描写を作り上げたと思ってしまったり。
実在のモデルがいた
オリジナルのキャラクターとも思われがちですが、レザーフェイスは「エド・ゲイン」という犯罪者をモデルにして作られたと言われています。
ゲインは、アメリカでは20世紀を代表する殺人鬼として挙げられており、彼の映画なども製作されているぐらい有名。ゲインのどこがモデルになったと言うと、彼は墓場から埋葬されたばかりの死体を掘り起こし人の皮を剥ぎ、ランプシェードやマスク、女性の体の皮でスーツを作り身にまとったりしていたと言うところ。
1950年代の事件なのですが、ヒッチコックの「サイコ」や「羊たちの沈黙」などもゲインを参考にしていると言われています。こんな人が実際にいたと思いながら見てると更に恐怖度がUPしますよね。
低予算だったからこそ起きたヒット
今も昔も同じですが、元々需要の少ないホラーやスプラッター映画は、低予算で始まることが殆どです。「悪魔のいけにえ」は、その低予算のお陰で有名になった作品でもあります。
まず通常の映画撮影用の35mmフィルムを工面することができず安上がりで済む16mmを使用。しかしそれでは映画館で上映ができないため、16mmを拡大してスクリーンに合わせて上映したところ、それが荒い映像として映し出されて、逆に怖さを煽る結果になりました。この気味の悪い荒い映像は、低予算を逆手に取った演出効果として語り継がれることになりました。他にも骨などで作った家具などの芸術面、まるでドキュメンタリーのようなカメラワークなどが評価されマスターフィルムは、現在ニューヨーク近代美術館にて永久保存されています。
ちなみに、ホラー映画としては、ゾンビ映画の金字塔、ジョージ・A・ロメロ監督の「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」の2作品のみが保存。先ほどデモの話を挙げてましたが、その一方でいかに認められた作品かが分かります。
あなたはレザーフェイスから逃げ切れる?
果たして罪なき若者達は、ソーヤ家とチェンソーを振り回して追いかけてくるレザーフェイスから逃げ切ることができたのか?クライマックスまで辿り着けたあなたには2度と忘れられない恐怖が待っていることでしょう。
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